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続・みらいのはなし 9
正直、これを書き続けるのは…どうなのかなぁと自分でも悩みました。


シリアス傾向にあるお話ですので、苦手な方はスルー願います。
初めての方はカテゴリ「未来」からどうぞ。



オペ室の前まで来ると長いすに座って祈るように手を組んでいる、紀子の姿があった。

「おばあちゃま!」

いつもの調子で琴美が声を掛けると、はっとしたように顔を上げる。

「みーちゃん!お帰りなさい!」

琴美はぎゅっと握ったままだった直樹の手を離し、紀子の腕の中へ飛び込んだ。
かばんの中の空っぽになった弁当箱がからからと音を立てる。
直樹と紀子の真ん中に陣取った琴美は、お別れ遠足の話を興奮気味にして見せた。
友だちのこと、直樹が作ってくれたお弁当のこと、遠足で遊んだ公園の話。
おしゃべり好きで、明るいところは琴子に似ている琴美。
二人の明るさに入江家は何度も助けられてきた。

「それでね、えっと…」

可愛い声が不意に途切れた。
遠足の疲れも手伝ったのか、琴美は直樹にもたれてうつらうつらとしている。
直樹は慣れた手つきで琴美を抱き上げ、自分の膝の上に小さな頭を乗せた。
直樹と琴子の寝室で琴美が眠ってしまうと、直樹はいつも膝枕をする。
寝入ってしまってから琴美の部屋へ運ぶとぐっすり眠ってくれるからなのだが。
琴子はいつも、”膝枕なんてあたしはしてもらったことがない”と、自分の娘にまでやきもちを焼く。
文句を言って尖った唇にそっとキスを落とすのも、直樹のひそかな楽しみだった。

「長いのね」

沈黙に耐え切れなくなった紀子はつぶやく。

「これくらい大丈夫だろ、むしろ早く出てきた方が焦るよ」

「そうね」

再び廊下には沈黙が流れる。

「ママ、まあだ?」

眠い目をこすり、半身を起こして琴美は問うた。

「まだ。終わったら起こしてやるよ」

直樹の言葉に安心したのか、琴美は寝息を立てて眠り始めた。

「お兄ちゃん」

「何?」

琴美の頭を何度も撫でている直樹。
その視線の先には未だ琴子が入ったままのオペ室の扉がある。

「大丈夫なの?」

「琴子なら…」

「違うわよ、お兄ちゃんのことよ」

何もかも見透かしているような紀子の目。
その視線が鋭く胸に突き刺ささって、直樹は視線をそらした。
わかっている、誰よりも。
琴子がいなくなることを一番に恐れているのは、自分自身だ。
入院して病気が発覚して、ばたばたと治療が行われる日々。
その日々に一番違和感を感じて、一番泣き叫びたいのは琴子自身のはずなのに。
直樹が紀子の言葉に答えずに琴美を抱きなおしたとき、オペ室の扉が開く音がした。

*****

肌理細やかな肌に、いくつもの管が刺さっていた。
ひとつひとつの管がどういうわけで刺さっているのか、直樹は容易に判断できる。
けれど、目の前で眠っているのが琴子だという事実だけが未だ受け止められずにいた。

「直樹くん」

後ろから小さく声を掛けられて、直樹は振り向いた。

「お義父さん」

仕事を終えてすぐに駆けつけた義父の姿が、そこにあった。

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わさこ

Author:わさこ
はじめまして!こんにちは!
こちらはイタズラなkiss中心の 二次創作ブログです。
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