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続・みらいのはなし12
シリアス傾向のあるお話ですので、苦手な方はスルーしてくださいませ。
大丈夫な方はどうぞ。
初めての方はカテゴリ未来から。
順番としてはみらいのはなし→続・みらい~になります。








硬く閉じられたままだった琴子の瞼がピクリと動いた。
深い眠りから少しずつ覚めているのだと気づき、直樹は両の手で握り続けていた琴子の左手を握りなおす。

「おい、琴子」

朝、起こしてやるときよりも優しくその名を呼びかけると、琴子の眉間にはしわが寄った。
寝起きの悪い彼女は、直樹が声を掛けるといつもそうする。
直樹はその様子にほっとして、思わず口角が緩んでしまった。
握ったままの手はそのままに、直樹は琴子の顔を見つめた。

「琴子、起きろ…」

あまりにも力が入っているのが痛々しくて、直樹は眉間に唇を落としてやる。
そのまま目元にキスを落とすと、琴子の目からは涙が一筋、零れ落ちた。
―何故泣いている?
直樹が目じりにたまったままの涙を手で拭ってやると、それが刺激になったのか琴子の目がゆっくりと開けられた。

「…ん…、え…くん」

かすれた声で彼女が搾り出した言葉は、やはり自分の名前だった。
そんな些細なことでも今の直樹にとっては嬉しい。
自分のところに、琴子が戻ってきた。
久々に感じる安堵感が、直樹の疲れた体を優しく包み込んだ。

「琴子」

「入江くん」

しっかりとした声で、再び自分の名前を読んだ琴子に直樹は微笑んだ。
琴子も直樹の顔を見て嬉しそうに口角を上げている。

「もう大丈夫だ、あとは力をつけて退院するだけだ」

この言葉を、ずっとずっと言いたくてたまらなかった。
それを聴いた琴子はいつもの何もかもを撥ね退ける勢いで笑うだろう、これも直樹がずっと思い描いていたこと。
しかし、ベッドに横たわったままの琴子は様子が違った。
自分から視線をはずしてぼんやりとした様子で天井を見上げている。
術後直ぐということもあるのだろう、直樹は思いなおして琴子の顔をもう一度見つめた。

「あのね?」

「ん?」

囁くような彼女の声は、力なく聞こえた。

「お母さんの夢を見たの」

「…」

琴子にとって悦子は唯一無二の存在。
それは直樹にとっては紀子が、琴美にとっては琴子がそうであるように。
悦子は、琴子を導いてくれたに違いない。
そう思うと直樹は何も言い返すことができず、ただ琴子の話に耳を傾けることにする。

「でも、お母さんには会えなくて…、周りが真っ白で、入江くんも琴美もいなくって…」

つじつまを合わせようと、琴子が考えながら一生懸命に話そうとしているのが良くわかる。

「よかった、戻ってきて」

直樹は座っていた丸椅子から腰を浮かし、琴子の耳元で囁いた。
琴子はようやく天井から目線をはずし、直樹のほうへ再び顔をむけた。

「ただいま、入江くん」

琴子はようやく、直樹が大好きないつもの笑顔で笑った。
直樹はそのままその耳元へ唇を落とす。
先ほど眠っていた琴子へ囁いた言葉が、少しでも伝わっているといい…、そんなことを思いながら。
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わさこ

Author:わさこ
はじめまして!こんにちは!
こちらはイタズラなkiss中心の 二次創作ブログです。
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