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うちのメイドさん 4



「また来ていたのか」

「ええ」

ナオキヴィッチは外出先から帰ってきたこの家の主の息子、スドーに声を掛けられた。
気まぐれで数年ぶりにスドーのところを訪れてから、ナオキヴィッチはちょくちょくこの屋敷を訪ねるようになった。
その目的は、図書室。
彼は今、ひとつの書物に嵌っているのである。
ナオキヴィッチの家の図書室にも、大学の図書館にもなかった書物。
珍しいものを見つけて、夢中になってしまったのだ。
幸い、スドーからは旧知の仲だからと図書室への出入りを自由にしてもらった。
勿論、この世界では考えられないことだ。
ナオキヴィッチは口には出さないが、豪快で大らかなスドーにこのときばかりは感謝した。
…その性格はいつもは暑苦しく感じるのだが。
スドーはナオキヴィッチの手元に目をやった。
冷め切ったお茶がなみなみと注がれているままになっている。

「コトリーナ、お茶を」

「はい」

外套と上着をスドーから受け取って、コトリーナはうなづいた。
ナオキヴィッチが訪れたとき、コトリーナはそのそばにいることがほとんどだ。
あの日マッツー家から帰宅した後、時間を忘れたように生き生きと会話を楽しんでいた二人を見たスドー。
鈍感である彼にも、二人の間の和やかな空気が流れていることが良くわかった。

「俺はいいですよ」

客間のテーブルにおいて読みふけっていた書物から顔を上げ、ナオキヴィッチは言った。

「どうして」

「こんなに貴重な書物なんです、読んでしまいたいので」

「明日、また来ればいいじゃないか」

「今日からまた泊り込みなんで」

「でも、あの…、あたし、一生懸命お淹れしたんです!」

会話を遮るようなコトリーナの大きな声。
ナオキヴィッチは彼女のほうをちらりと見る。
彼女が持ってきたワゴンの上には、温かい紅茶とお茶菓子が用意されていた。

「それは、君の手作り?」

「いいえ、これはコック長が自慢の腕を振るって作ったものです」

腕を組み、思案するように天井を見上げるナオキヴィッチ。
その様子を見てコトリーナは慌てて言った。

「あ、でも、あたしが作ったものがいいとおっしゃるのなら、今すぐお持ちします!」

「いいや、君が作ったものならば直ぐに帰ろうと思っていた」

ある晩、仕事が終わった後に立ち寄ったナオキヴィッチ。
スドーもおらず、コックも全員帰宅した後という環境で、食べた(食べさせられた)コトリーナ手製の食事は、それはそれはひどいものだった…。
その日から数日間、ナオキヴィッチがひどい胃炎に悩まされたのである。
自分のために胃薬を処方するのは、ナオキヴィッチが医師となって初めてのことだった。
苦しかった数日間を思い出し、ナオキヴィッチは胃袋をさする。

「俺、胃袋が壊れるかと思った」

「ひどい!」

真っ赤になって怒るコトリーナ。
一方、ナオキヴィッチはそんなコトリーナの表情が面白く、思わず噴出してしまった。

「コトリーナ、お前…お客様になんて事を…」

「いいんです、今日は俺の胃袋は無事だという事実だけで俺は幸せです」

にやりとコトリーナのほうへ笑って見せるナオキヴィッチ。
コトリーナは頬を膨らませたまま、二人分のお茶を淹れた。

*****

「そう言えば…」

ナオキヴィッチが帰ることになり玄関先まで来たとき、スドーは思い出したように言った。
その後ろにはコトリーナが付いている。
ナオキヴィッチが着てきた外套に皺がないかきちんと確認している。
メイドにとっては当たり前のことだが、それは本来客前ではするべきことではない。
メイドとしてはまだまだの彼女。
この後メイド長であるシッミーに怒られること、間違いなしである。

「テニスコートが出来たこと、知っているか?」

「テニス、懐かしいですね」

「久々に勝負をしてみないか」

「ええ、学生時代以来ですね」

コトリーナはナオキヴィッチに外套を渡した。
ナオキヴィッチがテニスをしている姿、それはなかなか見応えがあるものではないだろうかと思いながら。

「コトリーナ」

「は、はい」

急に自分のほうへ話を振られ、コトリーナはびくりと肩を震わせた。

「ナオキヴィッチと三人で行こう」

スドーの口からでた、思わぬ提案。
一人は呆れ、もう一人は驚いて返事をすることも出来なかった。

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わさこ

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