FC2ブログ

*All archives* |  *Admin*

2018/10
<<09  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31  11>>
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
生徒には秘密4



授業を終えて教材類を片付けながら、直樹はふと保健室を見下ろした。
いつもはしまっているはずの保健室の窓が開いている。
そこで白衣を着た琴子が、生徒と楽しげにしゃべっているのが目に入った。
生徒との会話は盛り上がっているらしく、もし琴子が制服を着ていたら誰が教師からわからないほどだ。
お腹を抱えて笑ったかと思うと、生徒からの話に眉をひそめて真剣に聞いていたりする。
百面相のようにころころと表情を変える琴子の表情を見ながら、直樹は呟いた。

「ばーか」

その言葉を聞いて中間テストの結果が悪かった、一部のB組の生徒たちが縮み上がったことも気にせず直樹は窓から離れる。
いつもは見もしない窓から広がる階下の光景に、なぜ自分は目を奪われたのか。
その理由を、その時の直樹は考えることもしなかった。

*****

「あ、今帰り?」

直樹が帰ろうと廊下を急いでいると、丁度保健室の鍵を閉めようとしている琴子にばったり出会った。
帰宅時間を過ぎ、生徒は校内にはいない。
職員室に残っている教師も少ないので、琴子はリラックスした様子で直樹に話しかけてきた。

「まあな、お前は?」

直樹の返事に、琴子は驚いたように目を丸くした。

「何だよ」

憮然とした表情の直樹とは対照的に、琴子は嬉しそうに笑う。

「ううん、入江く…じゃなかった、入江先生があたしに話しかけてくれるなんて」

「別に、会話の一環だろ」

応じながらも、直樹自身でも意外に思っていた。
これまで校内で話しかけられたら、鬱陶しくて無視していたような存在。
それなのに、どうして自分は琴子に声をかけているのか。

「そっか」

憮然とした表情のままの直樹を気にすることなく、琴子は明るい声を出した。

「今日生徒との会話が楽しかったからね」

保健室の鍵をかちゃかちゃと鳴らしながら、琴子は笑う。

「保健室の窓を開けていたから、笑い声が聞こえたの?」

「だから?」

怪訝そうな顔をした直樹に、琴子は鞄を抱えなおしながら答えた。

「入江く…入江先生も悔しかったらそのとき仲間に入ればよかったのに」

「違う!」

琴子の発言に、間髪いれず小声で突っ込みを入れる直樹。
本当なら声を荒げる場面だが、校内の廊下という場所柄、小声にならざるを得ない。

「え?違うの?入江先生っていつもこーんな顔してるから」

そう言いながら琴子は目を吊り上げて、口を一文字にして見せた。

「生徒と仲良くするためには、もっとにこやかにしなくちゃ」

「一年中にやにやしているお前に言われたくない」

「失礼な!」

また何か言い返そうと琴子が前のめりになったところで、直樹は職員室のほうへ顎を杓る。
ガラガラ、と職員室のドアが開く音がして二人の会話は終わった。

「じゃ、お疲れ」

「お疲れ様でーす」

帰る場所は同じなのに、二人は空々しい挨拶をして、保健室の前で別れた。
二人が同じ家に住んでいることは、国家機密級の秘密なのである。


Secret
(非公開コメント受付中)

プロフィール

わさこ

Author:わさこ
はじめまして!こんにちは!
こちらはイタズラなkiss中心の 二次創作ブログです。
ごゆっくりどうぞ。

何かある方は、メールアドレス
starlight_wasako☆yahoo.co.jp まで。

☆を@に変換してお使いくださいね!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
ひとこと
FC2カウンター
たったいま
現在の閲覧者数:
FC2カウンター
いつもありがとうございます
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QRコード
FC2チャット
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。