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続・みらいのはなし 4



深夜。
人気のない外来の廊下を直樹は歩いていた。
今日は当直。
いつもなら急変者や運ばれてくる患者の診察におわれるのに、やけに静かな夜だ。
仮眠室で寝付けず、琴子のところに寄ろうかとも思ったのだが、きっとぐっすり眠っているであろう彼女の睡眠を邪魔する気分にもなれず。
ぶらぶらと外来の廊下までやってきてしまった。
いつもならこんなことはない。
たまっている仕事に没頭するか、休めるうちに休んでおこうと仮眠室で横になることが多い。
冷静沈着なはずの自分の心が落ち着かないことに、直樹自身が動揺していた。
物音一つしない外来の片隅にある椅子に腰を掛け、直樹は大きくため息をついた。
落ち着かない理由は、直樹には良くわかっていた。
体をひんやりとした壁にもたれかけ、直樹は今日の昼の出来事を思い出していた。

*****

「おう、久しぶりだな」

現れたその人に向かって、直樹は深々と頭を下げた。

「お久しぶりです、西垣先生」

「お前でも頭なんて下げられるようになったんだなー」

皮肉たっぷりににやりと笑ったその人は、今や斗南大学病院の人間ではない。
数年前に技術をさらに磨きたいと別の病院に移動した。
女性関係は相変わらずにぎやかなようだが、腕は確かである。
新たな病院でも外科医として活躍している。

「…この患者の資料を診てもらえましたか」

あらかじめ西垣のパソコンへ送り込んでいたデータの原本を持参して、直樹は差し出した。

「ああ、間違いないだろうな」

「…」

西垣がきっぱりと言い切ると、直樹は黙り込んでしまった。
データを共有しながら、治療について話し合う。
医師にとっては珍しくない行為だが、わざわざ別の病院にいる自分を頼ってやってきた直樹の行動に西垣は疑問を抱いた。

「それにしてもお前が意見を求めるなんて珍しいな、どうした?」

「自分の診断には自信がありました」

「信じたくなくて、か?」

核心を突くように西垣は言葉を続けた。

「知り合いなのか、患者は」

「…子です」

「え?」

「琴子なんです」

直樹が静かにそう告げると、西垣は愕然とした。

「琴子ちゃんって…、お前…」

「失礼します」

西垣の言葉を聞くことができず、直樹は背を向けた。
冷たいドアノブを握ると、西垣の言葉が追いかけてくる。

「いつでも来い!専門の先生も紹介してやる!」

直樹は黙って会釈をすると、西垣の勤める病院を出たのだった。

*****

昼間の出来事を思い出すと、直樹は体がひどく疲れているのを感じた。
何度となく深いため息を吐き出す。
冷えた外来の椅子は、直樹にとって冷静沈着さを取り戻すのにもってこいの温度だった。

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わさこ

Author:わさこ
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